4月の超過死亡は減少傾向(人口動態統計速報)

2022/06/22

人口動態統計の速報4月分が6/21に発表された。それによると4月の月間死者数は121,799人で、平均トレンドに対して2,879人上回った。平均トレンドとの差異を超過死亡とすれば、2月は13,339人、3月は10,273人だったので、4月になって収まってきたと言える。


6月12日のブログで超過死亡についていろいろな考察を行ったが、4月の発表を受けて、再掲にはなるが、データを更新して考察を進めた。


2004年から18年間の、毎月の死者数のグラフを下に示す。波打ちながら少しづつ増加している様子が分かる。


このグラフから全体のトレンドを求めるために、過去一年間の累計死者数を求めてグラフにする(下図)。


毎年、およそ22000人の増加が続いており、直近の2021年5月から2022年4月までの12ヶ月の死者数は149万4549人になっている。
これは年々のトレンドであるが、これに毎月の変動が加わる。最初のグラフから年のトレンドを取り除き、月毎の変動だけを平均したのが下のグラフである。
※毎月の死者数の直近12ヶ月累計死者数に対する比率を計算して、平均している。


毎年1月の死者数が最も多く、6月が最も少なくなっている。やはり人間は寒いのが苦手で、暑さには強いと言えそうだ。このグラフで2月が落ち込んでいるのは、2月の日数が28日と少ないためで、補正すれば3月より多くなる。

さて、このような年々のトレンドと、月毎の変動が分かると、毎月の平均的な死者数を計算することができる。そのような平均死者数とその月の実際の死者数とのズレを計算したのが下のグラフである。ここでは毎月の死亡者数とこのトレンドとの差異を超過死亡数としている。


これを見ると2011年3月からの一年間、超過死亡が増えているのがわかる。東日本大震災が発生した時である。

新型コロナが日本に入ってきたのは2019年12月頃であるが、それからの一年間、超過死亡はマイナスになっている。コロナで大騒ぎしていたのに、死亡者は減少しているのである。

これについては日経新聞が記事にしている。
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2020年の国内の死亡数は前年より約9千人減少したことが22日分かった。死亡数は高齢化で年平均2万人程度増えており、減少は11年ぶり。新型コロナウイルス対策で他の感染症が流行せず、コロナ以外の肺炎やインフルエンザの死亡数が大きく減少したためとみられる。
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コロナで大変だけど、結果として死者は減っているなどと言っていたが、2021年になって死亡者が増え始めた。そして2022年の2月は13,339人、3月は10,273人と大幅増になった。4月も少なくなったとは言え2,879人の超過死亡である。

死因別死者数については2021年までのものが公開されているので、2016年からの5年間について、主な死因別の前年からの増減をグラフにした(下図)。

2020年は全体として減っているが、特に肺炎の減り方が大きい。これに対して、2021年はコロナによる死者が大きく増えた上に、老衰、心疾患が大幅増となっている。がんも増えた。一方肺炎は引き続き減少している。それが新型コロナと関係しているのかは、素人の私にはわからない。


いろいろ原因について試行錯誤を重ねるなかで、超過死亡の推移と、ワクチン接種回数の相関が高いことに気がついた。現時点で因果関係は不明であるが、2022年になってからの3回目ワクチン接種とタイミングをあわせるかのように、超過死亡が増加減少している。


超過死亡に新型コロナによる死亡がどの程度影響しているかを見るため、上のグラフに「コロナによる月間死亡者数」を追加したグラフを下に示す。2020年末あたりからコロナ死亡が増え始め、2021年1月から3月にかけて最初の山が来ている。ところが超過死亡はそれほど増えておらず、2月3月は逆にマイナスとなっている。

コロナ死亡数は「死亡者がPCR検査陽性であれば死因を問わずにコロナ死に数える」という方針で計上されているため、多めになっていることも考え合わせると、超過死亡への影響は限定的と言えそうだ。



このような相関が見られる場合は、因果関係を疑い、徹底的に分析を進めるのが科学の常道である。特に2020年に超過死亡がマイナスになり、2021年に大幅なプラスになったのはなぜかがポイントだ。

この疑いに対して厚生労働省は厚生科学審議会で鈴木医師の次のような見解を発表して「因果関係はない」と主張している。
  • 大阪と兵庫および全国について超過死亡は新型コロナワクチン接種数の増加に先立って発生している
  • 東京については、65歳以上についてワクチン接種数の増加あるいはピークと時期が1ヶ月程度ズレている
  • 原因は結果に先行し、その逆はないので超過死亡とワクチンとの時系列的な関係は説明できない

一部のデータだけを使ったあまり説得力のない説明であり、仮に超過死亡がワクチン接種に先行した例があったとしても、別の要因による超過死亡かもしれない。

実際に同じ資料で以下のような注釈をつけている。

2021年4月ごろから超過死亡発生が観測された地域では、第4波で新型コロナ患者がこれまでにない規模で急増したことで、医療システムが逼迫し、非感染者における救急医療や一般医療、他病院サービスにも影響を与えた可能性が報告されている

馬脚を現すとはこのことである。もう少し多くのデータをきちんと分析して、納得できる説明をして欲しい。本当に因果関係があるのならとんでもないことなのだから。