ワクチン接種歴別の新規陽性者

2022/06/25

コロナウイルス 統計

新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが6月23日に開催された。これまで毎週水曜日に開催されていたのだが、先週の開催はなく、どうしたのかと思っていた。2週間ぶりの開催。マスコミにデータ改ざんを叩かれているだけに、何か(責任逃れのための)対策でも検討していたのかと勘ぐってしまう。

さてこの会議では、毎回「ワクチン接種歴別の新規陽性者」に注目している。ワクチンにどの程度感染予防効果があるかを知るための重要な情報である。

※アドバイザリーボードの資料はこちら
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00348.html

これまでこの会議で発表されたワクチン接種歴別の新規陽性者の推移は下図のようになっている。徐々にではあるが、新規陽性者数が減少傾向にあることがわかる。


上のグラフで4月10日までは「接種日が未記入の陽性者」をワクチン接種済みであるにもかかわらず、未接種に分類している。外部からの指摘を受け、それ以降については「接種歴不明」に分類している。本来ならほとんどが2回接種済か3回接種済に分類されるべきものである。


それはともかく、年代別の10万人あたり陽性者数はどのようになっているかを見る。まずはデータが修正された直後の4/11-4/17は下のようになっている。40歳代、60歳代、70歳代で2回目接種済みより未接種者の陽性者数が少なくなっている。これは年代によってはワクチン接種に感染予防効果がないこと、未接種より感染しやすくなっていることを意味している。


今回の会議で発表された最新データは以下である。全体の陽性者数減少に伴い、どの年代の陽性者数も少なくなっており、縦軸の目盛りを変更している。傾向としては上のグラフとかわらず、40歳代、60歳代、70歳代で2回目接種済より未接種の陽性者数が少なくなっている。さらに65-69歳では3回目接種済より未接種が少なくなっている。これは3回目の接種から時間がたつにつれ効果が薄れてきたことを意味している。


ところで厚生労働省は外部からの指摘を受けて、データを修正したが、まだ不十分である。接種歴不明のほとんどがワクチンを接種しているにもかかわらず、2回目接種済と3回目接種済から除外されたままなのだ。

ここで、接種歴不明を2回目接種済と3回目接種済の人数の割合で振り分けると、2回目接種済と3回目接種済の人数が増えて下のようなグラフになる。これだと80歳代を除く全年齢層でワクチン未接種のほうが感染しにくいという結果になる。

※80歳代については未接種の人数が8万人程度と非常に少ない。未接種の人数は80歳代の人口から接種人数を差し引いて推定しているのだが、もとになる人口データとして少し古いものを使っている。高齢化によって現時点では80歳代の人口はそれより増えているので、それを加味すると未接種の人数はもっと多くなり、10万人あたりの人数は減ることになる。このようにありとあらゆるところで「ごまかし」があるので厚生労働省のデータは油断ならない。


現時点では3回目接種には感染予防効果があるかに見えるが、これも時間の問題で効果がなくなり、いずれは未接種が一番感染しにくくなると思われる。

これは非常にセンシティブかつ重要な問題であるので、国民が安心してコロナに対応できるよう、まともで信頼できるデータを出してほしいものだ。