年齢階層別の死亡率推移を見る

2023/06/06

コロナウイルス 死亡率 統計

 前回のブログで超過死亡が2021年から急増していることを取り上げた。

これに対して、「最近若い人が亡くなっているような気がするけど、本当のところ、どうなんでしょう」というコメントをいただいた。


それならということで、年齢階層別の死亡率がどうなっているのかを調べてみた。

例えば、20~24歳の死亡率と、70~74歳の死亡率(いずれも10万人あたり)は下のグラフのようになっている。


当たり前のことだが、死亡率は年齢によって大きく違う。高齢になればなるほど死亡率は高くなる。20代前半では死亡率は10万人あたり40人前後、70代前半では1500人を超える。

また死亡率は年々低くなっている。これは長寿化が進んでいることを意味する。ただし2021年になってカーブが上向きに曲がっている。なぜ?

年齢による死亡率


年齢による死亡率を下のグラフに示す。4歳以下の死亡率が少し高いが、5歳になると死亡率は10万人あたり10人程度(0.01%)になり、その後は、指数関数的に高くなる。100歳以上になると4万人以上、つまり一年で40%の人が死亡する。


直近の死亡率が増加


本来であれば、長寿化に伴い全年齢階層で死亡率は年々低下する。それを下のグラフに示す。年齢階層によって死亡率が全く異なるので、一つのグラフに表すために、2000年から2022年の期間の平均値を100とする指数をグラフにしている。


2011年に大きなピークが見られるが、これは東日本大震災による影響である。これを除けば、全体として右下がりになっている。しかし2021年、2022年については、15歳以上の全年齢層で死亡率が上昇していることがわかる。

若年層では死亡率そのものが低いので、死者数では圧倒的に高齢者が目立つが、このように指数でグラフ化することで、若年層でも死亡率が上昇していることがわかる。

「最近若い人が亡くなっているような気がするけど、本当のところ、どうなんでしょう」という感覚は正しかった。

年齢階層別の死亡率グラフ


以下に年齢階層別の死亡率推移を示す。15歳以上の年齢階層で、2021年、2022年の死亡率が上昇していることがわかる。
東日本大震災の影響が年齢とともに小さくなっているのは、高齢になるほど死亡率が高くなり、震災の影響が相対的に少なくなるためである。