超過死亡の要因を探る

2022/06/12

コロナウイルス 統計

 以前のブログでも取り上げたが、人口動態統計の速報によると、2月および3月の死者数が例年に比べて激増している。

死因については現時点では発表されていないので不明であるが、2020年度、2021年度の人口動態統計から、この激増について考える。


2004年から18年間の、毎月の死者数のグラフを下に示す。波打ちながら少しづつ増加している様子が分かる。



このグラフを元にして、2月、3月がどれくらい増えているのかを知るには、全体の傾向を分析する必要がある。ということで、まずは毎月の死者数から、過去一年間の累計死者数を求めてグラフにする(下図)。



毎年、およそ22000人の増加が続いており、直近の2021年4月から2022年3月までの12ヶ月の死者数はおよそ149万人になっている。


これは年々のトレンドであるが、これに毎月の変動が加わる。最初のグラフから年のトレンドを取り除き、月毎の変動だけを平均したのが下のグラフである。

※毎月の死者数の直近12ヶ月累計死者数に対する比率を計算して、平均している



毎年1月の死者数が最も多く、6月が最も少なくなっている。やはり人間は寒いのが苦手で、暑さには強いと言えそうだ。このグラフで2月が落ち込んでいるのは、2月の日数が28日と少ないためで、補正すれば3月より多くなる。

さて、このような年々のトレンドと、月毎の変動が分かると、毎月の平均的な死者数を計算することができる。そのような平均死者数とその月の実際の死者数とのズレを計算したのが下のグラフである。超過死亡数もこのような計算をして求めている。


これを見ると2011年3月からの一年間、超過死亡が増えているのがわかる。東日本大震災が発生した時である。

新型コロナが日本に入ってきたのは2019年12月頃であるが、それからの一年間、超過死亡はマイナスになっている。コロナで大騒ぎしていたのに、死亡者は減少しているのである。

これについては日経新聞が記事にしている。

--2020年の国内の死亡数は前年より約9千人減少したことが22日分かった。死亡数は高齢化で年平均2万人程度増えており、減少は11年ぶり。新型コロナウイルス対策で他の感染症が流行せず、コロナ以外の肺炎やインフルエンザの死亡数が大きく減少したためとみられる。--


コロナで大変だけど、結果として死者は減っている、などと言っていたが、2021年になって死亡者が増え始めた。特に2022年の2月3月は大幅増になっている。

死因別死者数については2021年までのものが公開されているので、2016年からの5年間について、主な死因別の前年からの増減をグラフにした(下図)。

2020年は全体として減っているが、特に肺炎の減り方が大きい。これに対して、2021年はコロナによる死者が大きく増えた上に、老衰、心疾患が大幅増となっている。がんも増えた。それが新型コロナと関係しているのかは、素人の私にはわからない。


いろいろ原因について試行錯誤を重ねるなかで、全く関係ないのかもしれないが、超過死亡の推移と、ワクチン接種回数を重ねて一つのグラフにしてみた。



偶然の一致と思うが、なぜかワクチン接種が多い月と超過死亡が多い月が重なっている。これは何を意味するのだろう?もし相関があるなら、4月以降の超過死亡は少なくなるはず。


4月以降のデータや、死因の発表を待ちながら、分析を継続していきたい。