厚生労働省のコロナ感染状況集計

2022/06/09

コロナウイルス 統計

 厚生労働省が新型コロナウイルスの新規感染者について集計する際、本来は「ワクチン接種歴不明」の人を「未接種」として計上していた問題について、大手マスコミが取り上げ、後藤茂之厚労相が苦しい説明をしている。


※6/12一部修正

接種歴不明の陽性者数をワクチン接種者に振り分けたグラフに間違いがあったので修正しました。


入力なしをワクチン未接種と分類 厚労省「多く見せる意図なかった」(朝日新聞デジタル)

https://www.asahi.com/articles/ASQ5Z64BPQ5ZUTFL010.html


厚労相「他意ない」 ワクチン接種歴、入力なしを「未接種」に計上(朝日新聞デジタル)

https://www.asahi.com/articles/ASQ673T80Q67UTFL007.html


コロナ感染状況集計 ワクチン接種歴 記入なしは「接種歴不明」(NHK)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220530/k10013649691000.html


【検証】厚労省データ 心筋炎リスク情報も不適格(サンテレビ)

https://sun-tv.co.jp/suntvnews/news/2022/06/07/53955/


問題になっているのは毎週行われているアドバイザリーボード会議で公表されているデータ。最新は6月8日の会議で配布された以下の表。これを見ると40-49歳、60-79歳で未接種者の陽性者が2回接種済みの陽性者を下回っていることがわかる。



このような形で発表されるようになったのは、4/11以降のデータから。その前は上の表にある「接種歴不明」の陽性者数が全部、未接種者の陽性者数としてカウントされていた。

サンテレビから


その結果として未接種者の陽性者数が大きくなり、「未接種は感染しやすい」という結果になっていた。そしてこのデータを使って厚生労働省はワクチン接種を強く推進してきた。

このデータはおかしいと気づいた名古屋大学名誉教授 小島勢二医師の指摘により、厚生労働省は4/11以降の集計方法をこっそり変えたというのが経緯である。


毎週、最初の図のような形で発表されるデータについて、4/11以降の7週間をまとめてグラフにしたのが下である。



7週間の傾向はかわらず、40-49歳、60-79歳で未接種者の陽性者が2回接種済みの陽性者を下回っている。


ただ、このデータでも不正確であり、ワクチン接種者の陽性者を少なく見積もっている。というのも、接種歴不明というのは、「打ったか打ってないかわからない」ではなく、「ワクチンを打ったが、いつ打ったのか日付は覚えていない」ということだから。そして「ワクチンは打っていますか?打ったのは何月何日ですか?」と聞かれた7-8割が、「打ったけど何日だっかたは覚えていない」と答えているようである。


そこで、不正確を承知で、接種歴不明の陽性者数をワクチン接種者の2回、3回の比率で分配して試算したのが以下のグラフである。


これだと80歳以上を除く全年齢層で、ワクチン接種者の陽性者が多くなっている。

サンテレビのインタビューに、小島勢二医師は次のようにこたえている。

ワクチンを打っていない人が慎重に行動し、打った人が安心して気が緩む社会行動の変化を疑いましたが、接種者と未接種者それぞれ408人に行われた直近のアンケート調査では、行動に変化が見られませんでした。

帯状疱疹が増えていることを考えると、帯状疱疹は免疫が下がった時の1つのサインなんですね。そういうことを考えると、場合によっては免疫がワクチンによって下がってきているかもしれない。

これは非常に重要な問題である。このような憶測をよばないためにも、厚生労働省にはしっかりとしたデータを、それもいじったデータではなく、生のデータを開示してほしい。