ロシアのこの暴挙に対して、世界中から非難の声が上がっている。ヒットラーと同様、プーチンの狂気が引き起こした事態であり、いずれ自滅する、といった論評も目にする。
でも本当にそうだろうか。プーチンは狂っているのだろうか。プーチンは何年も周到な準備をして、今なら勝算ありとして行動に踏み切ったのではないか。
ロシアの侵略に対応して、各国がいろいろな制裁を発表しているが、現状では遠吠えにすぎず、本当に有効な制裁は実行されそうにない。
本当に有効な制裁とは、ロシアからのすべてのパイプラインを止めること、SWIFTからロシアを排除することである。
ただでさえ経済が弱く、資源だけでなんとかしているロシアなので、ガスを輸出できず、またドルでの決済ができなくなれば、浜に打ち上げられた魚のように、干からびるのは時間の問題である。
ロシアにとって、それほどまでのリスクを冒してでも、やらなければいけない状況だったのだろうか。それとも、そんなことできるわけがないと高を括っているのだろうか。
ヨーロッパのエネルギーはロシアに大きく依存している。特にドイツは、天然ガスの55.2%、原油は33.9%がロシアからの輸入である。その上、原発を全部止めるというのであるから、パイプラインを止めることは、ドイツにとって死活問題である。他のヨーロッパ諸国にとってもパイプラインを止めることの影響は大きい。
SWIFTからロシアを排除するというのは、完全にロシアとの貿易を排除するというのと同義である。ロシアからのガスや石油が止まれば、エネルギー価格は暴騰するだろう。ただでさえインフレで苦しんでいるアメリカにとっては耐え難い状況になる。
イギリスのジョンソンはSWIFTに踏み込んだ制裁を言っているが、ガソリン価格の急騰で支持率低下になやんでいるバイデンがそれに応じることができるのだろうか。
その一方でプーチンは北京オリンピックでの習近平との会談で、大量の天然ガスを中国に供給する取引を提案している。ヨーロッパがいらないというなら中国にまわしますという訳だ。ヨーロッパがロシアとのパイプラインを止め、中国から高くなったガスを購入するということになったら、結局利益を得るのはロシアと中国ということになる。
パイプライン停止やSWIFTにあわせて、このようなバイパス(抜け穴)も塞ぐ必要がある。
軍事面でみても、米国のアフガニスタンでの動きでわかるように、バイデンは何もできない、と読むのが妥当だろう。そして国連はロシアの拒否権で非難決議すらできない。全く無能な組織である。
こう見ると、プーチンには十分勝算があるのではないだろうか。
短期決戦でゼレンスキーを倒し、新ロシア政権を樹立する。そこでウクライナから手を引いて傀儡政権を通してコントロールするわけである。
そもそものプーチンの危機感は、NATOの東方拡大でロシアの生存が脅かされているということ。ウクライナをロシアに併合する必要はなく、NATOに入れないようにすれば、十分目的は達成できる。
ウクライナへの軍事支援を行ってきたアメリカやNATOが、このような事態を引き起こしたとも言える。
ここまではロシアとウクライナの話。しかし私が危機感を覚えるのは、この状況をしっかりと見つめている国のこと。決して対岸の火事ではない。
世界がここでロシアを制止できないと見切れば、台湾侵攻とその先の尖閣・沖縄侵攻が射程に入る。もしかしたら同時にロシアが北海道に侵攻という可能性も考えられる。ついでに北朝鮮が。。。
そのとき国連はもちろん、アメリカも当てにならない。自分の身は自分で守るしかないのである。
このような話とは別に、この戦争で誰が利益を得るかという視点も重要である。ウクライナと密接な関係を持つと言えば、米国のバイデンと中国。
そして戦争を起こしさえすれば儲かる軍産複合体、ネオコン。
プーチンの狂気が戦争を引き起こした。悪いのはプーチン。そんな簡単な話だろうか。とにかく複雑怪奇で、この先が全く読めない。とはいっても他人事ではないので、事態を緊張感を持って注視したい(まるでどこかの国の首相みたい)。
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